変わる大学入試 突破口は“夢を追う力”
2019.12.11
こちらの記事はティエラコム様から提供していただきました。
能力開発センター 加古川地区責任者 松尾昭典さん
能力開発センター 加古川本校 中3学年主任 三浦和希さん
ティエラコム・東進衛星予備校 兵庫エリア責任者 西本賢一さん
目次
教育改革が求めるものは「新時代に対応する力」
- 日本の教育はどの方向に向かっているのでしょうか?
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- 松尾さん
- 2020年度に小学校、21年度に中学校、22に年度高等学校という順に、新学習指導要領の教科書に変わります。グローバル化やAIなどの技術革新が急速に進む時代に通用する人材を育成するため、政府は、小学校から大学までの教育を通して、新時代を切りひらく力を育もうとしています。
- 西本さん
- 現高2生から大学入試の内容が大きく改編されます。大学入試センター試験は「大学入学共通テスト」という名称になり、2024年をめどに、英検®やGTECなどの民間の英語検定試験の導入も予定されています。
- 2次試験も変わるのでしょうか?
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- 西本さん
- 学力だけでなく、「人間力・人物力」も問われるようになります。具体的には「なぜその大学を志望したのか」「希望の学部でどんなことを学びたいか」など、これまで、AO・推薦入試で提出が必要だった「志望理由書」の提出が一般入試においても必要となる見込みです。これまでは、センター試験や普段の模試の成績で受験する大学を選び、大学在学中に夢や就職先を探す学生が多かったと思います。これからは、入学前に学生生活のビジョンや目的を明確にして、受験に臨む必要があります。ただ、しっかりとした将来像を描けている子どもは決して多くありません。そこで、小・中学生が対象の学習塾「能力開発センター」では、夢や目標を持って勉強に取り組めるように子どもたちを指導しています。
何のためにその高校に入学するのか?夢や目標を明確にして勉強に励もう
- 「能力開発センター」(以下、能開)の取り組みを教えてください。
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- 松尾さん
- 中高一貫校では、中3の秋には高1までの内容を学習し終えているます。その一方、公立高校を受験する中3生は第一志望校合格がゴールと捉えがちです。その結果、3月の高校入試が終われば、解放感から学習時間が極端に減少する生徒もいます。しかし、高校生になってから勉強を始めていては、中高一貫校の生徒には太刀打ちできません。
そこで明石・加古川地区の能開では、高校受験は将来の夢をかなえる通過点の1つに過ぎないという考えのもと、中3の11月から高1の学習を始める「ハイパークラス」を設け、選抜式で生徒を参加させています。高1の学習は、高校入試に重なる部分も多いので無駄になりませんし、決して早過ぎることもありません。
- 三浦さん
- 中高一貫校で約4年かけて学ぶことを、公立高校では3年間で教えなければなりません。特に、英語と数学Iは高1の1学期に学習する単元が全単元の基礎になるので、能開の「ハイパークラス」では、ていねいに指導するように心がけています。
- 夢や目標についてはどのような指導をしていますか?
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- 松尾さん
- 人は夢や目標があるからこそ、困難も乗り越えられると私たちは考えています。能開では、小5から学期ごとに「未来設計図ノート」を作成しています。内容を問わず、将来の理想の姿を書いてもらいます。例えば「英語を使った仕事をしたい」と書いた場合、どんな職業があるのか、どんな大学・学部に進学すればよいかなど、夢をかなえるためのプロセスを子ども自身に具体的に考えてもらいます。ただ、当然ながら子どもには職業に関する知識や経験がありません。だから能開では、朝礼や授業の中など、機会あるごとに、世の中にある仕事の種類や社会における役割など、子どもたちが目を輝かせて聞いてくれるような話をしています。
- 西本さん
- 高校では学力が同程度の生徒や、もっと志の高い生徒が集まります。中学では学力に自信があった生徒でも、高校では思ったほど成績が上がらず、「勉強のスピードについていけない」と、高校生活の最初に壁に直面する生徒が続出します。しかし、その高校を目指した目的がはっきりしている生徒は、初心に返って頑張ることができます。難しい問題に前向きに取り組めるかどうかは、小・中学生のときに築いたものの考え方や物事に取り組む姿勢にかかっています。
- 三浦さん
- 地域のトップ高校に入学できたからといって、難関大学に合格する切符がもらえるわけではありません。トップ校の中でも成績が優秀な生徒にとって、平均で平日4時間、休日7時間勉強するのは当たり前です。長い勉強時間を支えるのは単純に忍耐力や集中力だけではありません。何のために勉強するのか、何のために大学へ行くのかという目的意識こそが大切なのです。小・中学生のうちから将来のことをしっかり考える子どもたちが、難関大学の入試を突破していくと考え、能開は指導に取り組んでいます。
大学入試トピック
大学入試はこれまでと何が変わる?
毎年1月に行われる大学入試センター試験は、国・数・英の試験内容が変わり、「大学入学共通テスト」という名称になります。一般選抜では大学入学の志望理由書や学修計画書の提出が積極的に活用される予定です。
大学入学共通テスト | 国語・数学 | <ねらい>自力で考えをまとめたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述したりする思考力・判断力・表現力を養う |
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英語 | <変更点>リスニングとリーディング(読解)の配点が100点ずつになる。文部科学省は、記述式問題の導入も検討中 <ねらい>「聞く」「読む」「書く」技能をバランスよく習得し、社会で通用する英語力を身につける |
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一般選抜 | <変更点>学力検査や小論文、面接などのほか、「志望理由書」および「学修計画書」が必要になる <ねらい>入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識などを総合的に判定 |
私立大学入試も“狭き門”に
私立大学ではこれまで、推薦と一般、AO入試を合わせ、定員の20%増しで合格者を出すところもありました。しかし、2016年度から定員を超過して入学者を受け入れた場合、政府が私学助成金を減額する方針を固めています。これにより、すでに志願者が多い私立大学では合格者数を定員数に留めています。そのため、トップ校の中位の成績では、「関関同立」も受かりにくいとさえ言われています。
※こちらの記事は、2019年11月に実施した取材にもとづいて作成しました。
(加古川リビングより転用)