いつから子どもを塾に通わせるべき? 中学・高校・大学受験に分けて解説
2020.10.28
「塾って、いつから通わせたらいいのかな?」
「みんなはいつから通わせたんだろう…」
とお悩みの保護者さまへ。
平成20年に文部科学省が発表した 調査*では、「学習塾に通い始めた年齢または学年」という項目で「小1・2年」が21.6%と、最も高い割合となりました。
しかし、同調査では「小5・6年」が20.9%、「小3・4年」が18.6%と、数字としてはあまり変わりません。
それでは結局、いつから子どもを塾に通わせるべきなのか。この記事では、小学生、中学生、高校生、それぞれの成長段階や、受験事情を踏まえて解説します。
目次
小学生
中学受験するなら新小4生
まず、中学受験を検討しているのであれば、新小4生(入塾は小3の終わり、2月頃)が一つの目安となるでしょう。
というのも、大手の中学受験塾の多くは、“受験コース”を新小4生からの受付にしており、このタイミングであれば、カリキュラムへの遅れが発生しないからです。
また、小4生はいわゆる「9歳の壁」と呼ばれる時期のまっただなかで、できる子とできない子の差が出始めるときでもあります。
これは文部科学省の「子どもの徳育に関する懇談会*」においても、
9歳以降の小学校高学年の時期には、幼児期を離れ、物事をある程度対象化して認識することができるようになる。
~略~
自分のことも客観的にとらえられるようになるが、一方、発達の個人差も顕著になる(いわゆる「9歳の壁」 )
と言及されていて、成長の節目の時期ともいえます。
同時に小4生から、総授業時数が最大になる点*(小1生=850、小2生=910、小3生=980、小4~6生=1015)も見逃せません。
これらを踏まえると、新小4というタイミングは、中学受験に向けた最適な入塾時期の1つといえるでしょう。
中学受験のためには、遅くともいつまでに塾に入ればいい?
試験日までのスケジュールから逆算すると、塾に入る本当にギリギリのタイミングは、小6の12月(年内)といえます。
しかし、実際には1~2ヵ月で受験に間に合うほどの学力が身につくかどうかは何とも言えず、おそらく塾でも「保証はできませんが…」などの説明をされるでしょう。
また、それよりも早く、教室やコースの定員になり次第締め切ったり、小5の後半・小6の初夏で新規生徒の受け入れをやめたりする塾もありますから、もっと早い時期の検討が必須といえます。
それでは、小5・小6生からでは中学受験を目指すことはできないのか、と言われればそうではありません。
先生からすすめられ、小6の夏や秋から中学受験を志し、合格したという話もネット上で散見されました。
万全を期したい場合や難関校を志すのであれば、できるだけ早い時期から準備をするのが得策です。
中学受験しないなら「子どもの様子」を基準に
一方で、中学受験をせず、地域の公立校に進むのであれば、塾に入るタイミングはそれほど気にしなくてもよいでしょう。
全体的な傾向としては、前述のとおり、
平成20年に文部科学省が発表した調査*では、「学習塾に通い始めた年齢または学年」という項目で「小1・2年」の21.6%が最も高い割合となりました。
しかし同様に「小5・6年」が20.9%、「小3・4年」が18.6%と、数字としてはあまり変わりません。
という数字になり、最終学年にあたる「小5・6年」でも5人に1人の割合で入塾しています。
ちなみに、同調査の「通塾させた理由」の上位3つは
- 子どもが希望するから(36.3%)
- 家庭では勉強をみてやれないから(25.3%)
- 一人では勉強しないから(22.0%)
となっています。
ですので
「子どもが行きたいと言い出した(言い出すまで待つ)」
「子どもの勉強をみてあげられなくなった」
「子どもの成績が落ちてきているが、自分で勉強している様子がない」
などのタイミングで検討してみるとよいでしょう。
中学生
中学生は中1から
中学生から塾に入る、という人も一定数います。
前述の文部科学省の調査*では、「学習塾に通い始めた年齢または学年」は「中1=11.3%」「中2=4.1%」「中3=2.9%」という割合となっており、5~6人に1人 は中学生から入塾しているといえます。
ただし、中1生の割合が最も多く、比較的早いタイミングでの入塾が多数派といえるでしょう。
中学生は、ほとんどの生徒が高校受験をしますが、受験間際に慌てて塾に入っても、なかなか学力は向上しません。
小学校に比べて終業時間が遅くなったり部活動があったりと、生活リズムが変化するので、家に近い塾や時間の融通が利く塾などを早めに調べておくとあわてずに済みます。
高校受験のためには、遅くともいつまでに塾に入ればいい?
高校受験についても、試験日までのスケジュールから逆算すると、塾に入る本当にギリギリのタイミングは高3の12月(年内)といえます。
ただ、中学受験同様に、1ヵ月で志望校に合格するレベルまで学力が向上するとは限りませんし、志望校を調べて絞り込む時間も含めると、もっと早い時期から準備する必要があります。
塾によっては、中3の夏期講習などの時期に新規受付を締め切るところもありますから、目安として中3の6~7月までに入塾・転塾を済ませておく方がよいでしょう。
高校生
高校生(大学受験)は高1
高校生は、1年生の春から塾に通っているという人が大半を占めるようです。
マイナビが高校生向けに行った「進学意識と進路選択に関するアンケート*」の結果では、
【塾・予備校に通っている方へ】いつごろから通っていますか?
高校1年の春から 50.8%
高校3年の春から 7.3%
高校2年の春から 7.2 %
高校1年の夏から 7.0%
(以下略)
となっており、また、 回答者の約8割が、高校卒業後の進路として「大学進学」を検討していると答えています。
これを踏まえると、大学受験のための入塾は、できるだけ早い時期が無難と考えられますね。
受験までの残り日数に関わらず、学校の授業についていけないと感じた時や、わからないところが出てきた時などに入塾を検討するとよいでしょう。
大学受験のためには、遅くともいつまでに塾に入ればいい?
試験日までのスケジュールから逆算すると、高3の8月がギリギリのタイミングといえます。
ですが、部活動で最後の夏の大会が終わるタイミングでもあるので、ギリギリながら、この時期から受験モードに切り替える人も少なくありません。
ただ、中学・高校受験と同じく、短期間で学力を向上させるのは難しいことです。
大学受験は、入試方式が幅広く多様なため、入塾が遅くなったとしても、志望校や試験科目を絞り込むことで学習時間を確保できますが、受験のチャンスが減ることにもつながりますので、やはり早めの対策がおすすめですね。
入塾する月・季節のおすすめは?
入塾そのものは、基本的にはいつでも可能です(塾によっては、先にも述べたような「小6生・中3生は夏以降お断り」などの規定もあります)。
そのなかで、特におすすめの月・季節は「2~3月・春」です。なぜなら、2~3月は塾にとって最盛期にあたり、説明会や割引キャンペーンなどが多く行われる時期だからです。
また、2~3月は、塾の次学年のカリキュラムが開始される時期であり、逆に言えばそれ以外の時期だと、塾と学校との学習進度に差が出てしまうため、子どもへの負担が大きくなる可能性があります。
塾に通わせるのにかかる費用は?
年間平均費用は、
- 幼稚園児:公立7,788円、私立27,401円
- 小学生:公立53,313円、私立252,790円
- 中学生:公立202,965円、私立153,365円
- 高校生:公立106,884円、私立129,313円
と言われています。
塾の費用については別記事で詳しくまとめているので、そちらをご覧ください。
「行きたくない」と嫌がる子どもへの対応
塾を嫌がる子どもへの対応についても、別記事でまとめています。
そちらをぜひ参考にしてみてください。
まとめ お子さまの意見も尊重しながら決めましょう
塾にいつから入るべきかをまとめると、
- 小学生は中学受験するなら新小4、中学受験しないなら「子どもの様子」を基準に
- 中学生は中1からが最も多く、遅くとも中3の6~7月までには検討を
- 高校生は高1からが無難
となりました。
しかし、親の意向だけで塾を決めると、子どもは「行かされている感」を感じてしまい、勉強嫌いの原因になってしまうこともあります。
お子さまの声も聞きながら、自分たちに合った塾を探していきましょう。
塾ログでは、目的や授業形式などのこだわりの条件から塾を検索ができ、あなたにぴったりの塾をみつけることができます。
→こだわりの条件から塾を探す
塾のタイプや指導形式の違いはこちらの記事をご覧ください。
参考:
*平成20年8月 子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告 文部科学省
*平成21年7月 第11回 子どもの徳育に関する懇談会 配付資料 文部科学省
*令和2年2月 標準授業時数の在り方について 文部科学省教育課程部会
*平成27年8月 マイナビ 高校生のライフスタイル・興味関心アンケート